三朝町では“当たり前”、全国的には“???”の
おめでたい「ソウルフード」
皆さんは正月にどんなお雑煮を食べられますか? しょうゆ味に白みそ、赤みそ。もちも、丸もち、角もち、焼く、煮ると各地様々ですね。ある意味「お雑煮」というのは地元に愛され続けている「ソウルフード」かもしれません。
さて、今回ご紹介する「三朝とちもちぞうに」は「小豆雑煮」。一般的には「ぜんざい」です。小豆のお雑煮は全国的にも珍しく、三朝町のほか鳥取県沿岸部、県外でも島根県西部、岡山県北部や兵庫県北部の一部の地域でしか食べられていないとか。しかも三朝町のそれは、普通の白もちではなく三朝町の町木であるとちの木の実を使った「とちもち」を入れるのが特徴です。
その「三朝とちもちぞうに」を正月だけではなく普段から提供しているお店があると聞いて、三朝町の「味処 華」を訪れました。“三朝米のおにぎりととちもち”が大好きという三朝温泉のキャラクター「湯けむり怪獣・ミササラドン」も応援に駆けつけてくれましたよ。「三朝とちもちぞうに」をお見せしましょう。
みんみんさん再登場!
ミササラドンと“華”あるコラボ
取材で伺った「味処 華」の料理長・御船孝義さんは、山陰の人気情報番組のレポーターとしても活躍している「みんみん」さん。ちなみに『鳥取牛骨ラーメン』の回に続いて、2回目の出演です。
そして「三朝とちもちぞうに」の魅力を聞くと、グルメレポートの経験豊富な彼の口からは次のような言葉が出てきました。
「とちもちの香ばしさと食感、これがいいんです。
そして“ぜんざいスタイル”、三朝の正月の“味”ですよ」
“ぜんざい”ではなく「お雑煮」、さらに「とちもち」
三朝町民の「ソウルフード」なのだ
「味処 華」では「三朝栃もちぜんざい」というメニュー名で提供、こうする事について聞くと、
「雑煮とはいっても“ぜんざいスタイル”なので、「味処 華」では、県外からの観光客に“わかりやすく”するため、あえてメニューは「ぜんざい」と記しています。地元では「雑煮」ですけど、実は観光客には「食後のデザート」として好評ですね」
ちなみに取材スタッフO(三朝町出身)曰く「大晦日の夜更かしで眠たい元旦、家族の「もち何個(食べる)~? 白? 黒(とちもち)にする~?」の声で起こされた記憶のあるのが三朝町民という“説”もあるとか。三朝人にとっては新年に欠かせない“心の味”なんです」
「栃もちぜんざい(400円)」/味処 華(東伯郡三朝町)
●取材メモ
とちの実はアク抜きにとても手間がかかるが、その方法でもちの味が決まる。かつては各家庭ごとに“とちもち”があったそうだ。小豆が貴重品だった時代は、新年の贅沢として食べられていたという「小豆雑煮」。そして食べると「中気」という病気を防ぎ、正月に子供に食べさせていたとちもち。「三朝とちもちぞうに」はめでたく、かつ健康を祈願する、正月にふさわしい逸品といえる。後世に伝承していくべき食文化だ。
なお「三朝とちもちぞうに」は、とちの実はもちろん、三朝町産の小豆ともち米を使っているという。
住所:東伯郡三朝町三朝791-17
営業時間:11:30~14:00 17:00~23:00
定休日:水曜
電話:0858-43-0006
〈味処 華〉の詳しい情報はコチラ
【三朝とちもちぞうに縁JOY会】に聞く
三朝温泉の名の由来は「三回朝を迎えると病が治る温泉」からきているといわれています。それは「年の朝」「月の朝」「一日の朝」の三つの朝ともいわれ、「お正月」とも関係しているが、前述の通り全国的にも珍しい三朝町の正月の縁起物「とちもち雑煮」は、とちもちを作る家庭が減少しているのも事実。そこで「とちもち雑煮」を通じて地域の活性化や文化の伝承をしようと有志が集まり、2012年の旧正月(1月23日)に結成されたのが『三朝とちもちぞうに縁JOY会』です。
会長の中村恭久さんと事務局をしている三朝町商工会の主任・小椋秀一さんに話を伺いました。
「名前にある通りエンジョイ、楽しんで活動することがモットーです」(中村さん)
「町内だけでなく、県外の方にも知っていただきたいですね。そのためにPR活動をしていきたいです」(小椋さん)
今後は町内のとちもち(雑煮)の分布を調べてマップを作成したり、とちの実のアク抜きのレシピを記録に残す活動も展開中とか。
今後は県外にも出展して「三朝とちもちぞうに」を通じて三朝町のPRもしていくそうで、楽しい“良縁”がどんどん広がっていくはずです。