2012年9月14日金曜日

第4回「儀式をお忘れなく! 鳥取のチャンポン」 その3



倉吉の町並みを見続ける老舗の味。
それは世代を超えて愛されるやさしい一杯だった。「レストラン 三日月」



雲の隙間からのぞく日差しはまだまだ夏の余韻を残している。食欲も戻らない日々が続くがこんな時こそ野菜がたっぷり取れる昼食が欲しいものだ。そんな時にピッタリなのが野菜豊富な「チャンポン」だ。
よし!今日はチャンポンを食べよう!


昭和が残る倉吉のマチナカにある、
入口のショーケースが懐かしいレストラン


訪れたのは倉吉市、創業昭和31年の老舗『レストラン三日月』だ。こちらはハンバーグや牛骨ラーメンでも有名だが、昭和40年代後半から提供している「チャンポン」にも根強いファンが多い。もちろん“たっぷり野菜にトロ~リあんかけ”スタイルの鳥取流。
今回、特別に許可をもらって、調理シーンを撮影させていただいた。



強火で一気に、そしてやさしく。
夏野菜もはいる、たくさんの野菜。


しっかり温めた鍋に葉もの以外の具を入れ強火で一気に炒めていく。今の時期は夏野菜の「なすび」が入る。しばらくして葉ものを投入し更にかき混ぜていく。そして味を整えていく。その様は、炎も上がり、調理人対具材の“真剣勝負”だ。




ラーメンにも使われる“牛骨スープ”投入。
水を得た魚のように彩り鮮やかな具材が鍋の中で踊る。


十分に火が入ったところで“中部の味”が加えられる。「牛骨スープ」だ。仕上がりの味を決めるこのスープこそが“人気の秘密”だ。そしてスープの入った鍋は炎の上で素早く、そしてじっくり煮込まれていく。



いよいよ仕上げ。
トロトロあんが艶やかなスープ。


いよいよ佳境に。牛骨スープにあんがかけられる。全体に馴染んだらすばやく火を落とす。余熱の中でスープは麺がゆであがるのを待つ。




麺を覆い尽くす艶やかなあんスープ。
三日月流“牛骨チャンポン”の完成。


大鍋の中で自由に泳いでいた麺を皿に盛り、完成したスープがたっぷりかけられていく。なにげない作業だが、よく見ると色彩と見栄えを意識した盛り付けをしている。この些細だが、テーブルに届いた時、客の心を一気に引きつける気配りが“料理人のプライド”なのだろう。



季節の野菜もはいる、野菜たっぷりの一杯。
牛骨スープがやさしい、女性に人気の“倉吉の味”。


テーブルに運ばれてきたチャンポンは、彩り鮮やかな野菜などの具材があんによりツヤツヤと輝き、見た目はゴージャス。しかし、箸を入れるとあんが抵抗して食べられるのを拒んでいる様でやんちゃな一面も持つ。そこもチャンポンの魅力なのだが。
さて、味だが、やはり牛骨スープの魅力が引き立つ。野菜の甘味と競演したとても優しい味で、箸を進める手が止まらない。プリプリで大きめのエビを食べるタイミングを計りつつ、あんを絡めて麺を食べていく幸せなひとときだ。「女性に人気がある(店主)」のもうなずける。

●ちゃんぽん 750円/レストラン 三日月(倉吉市)





●取材メモ
 倉吉の町を見続ける老舗の味は、世代を超えた庶民の味。親から子へ、そしてその子が大人になって来店しても変わらない味を提供していく。今では少なくなった光景が、ここにはまだあった。味と共に記憶に残るレストランだ。店の空気もまた「おいしい味」を演出する。

住:倉吉市新町3-2334(市営新町駐車場隣り)
営:11:30~15:00(LO 14:30) 17:30~22:00(LO 21:30)
休:火曜
☎0858-22-3586





☆今回はチャンポンの取材だが、牛骨ラーメンとともにイチオシなのが「ハンバーグステーキ」。素材、作り方、仕上がりすべてにこだわる逸品は、肉の味がしっかりと口に残る。「かつて、年老いた母親を病院へ行く途中で食べさせたらえらく気に入り、それから連れてくるたびにいつもハンバーグをペロリとたいらげる(常連さん)」ほど。


●懐かしくも美しい町並みが並ぶ『白壁土蔵群』で有名な倉吉市の観光情報はこちらのHPにもアリ。 『倉吉観光情報』


2012年9月6日木曜日

第4回「儀式をお忘れなく! 鳥取のチャンポン」その2


西のチャンポンといえばコチラ!「味処 四季」


“あんかけチャンポン”のパート2は、県西部日野町が舞台。米子からクルマで約30分、わざわざ食べに行く人が絶えない、山あいのマチの“名店”で出会った逸品は、いや~実にビッグな逸品だったのだ。





●県西部人の御用達チャンポン
それは山あいの食事処に

実はこちらの「四季」、県西部の人々に「チャンポンといえば」と聞くと真っ先にあがってくる“御用達店”なのである。その人気の秘訣は「野菜満載の具と絶妙のトロミあん」(常連)。一見するとそばや山菜がメインと思える店舗だが、入ると壁にはチャンポンをはじめ多彩なメニューが“チャンポン”の如くズラリ。





●特別公開、鳥取のチャンポン
 あんかけの“技”見せます!

ついに見せます!「鳥取のチャンポンのできるまで」。四季のチャンポンは実にスピーディ、麺を茹で始めると同時にたっぷりの野菜を炒めていく。そしてハイライトは「玉子とじ」のあん。口のスッと入っていくそのあんは「昼の忙しい人のために、トロミを強くしない」(店主・。生田俊一さん)という気遣いの賜物ナリ。




●一杯で食事“大完結”!
 九州人もヤミツキな逸品

「どうぞ」と持って店主が持ってきたのは、ご覧のとおりビッグなチャンポン。皿の幅は30センチ! くわえて野菜もたっぷりで、玉子の鮮やかな黄色に食欲が湧いてくる。それにしてもこの具の充実ぶりは、この一杯で“定食”と呼びたいほど。“天高く腹肥ゆる”秋にピッタリの一杯、さぁいただきますッ!





「ちゃんぽん」(750円)/味処 四季(日野町)







●取材メモ
季節の野菜に、時期によってはごごみなどの山菜も入る“充実”の一杯。牛骨ベースのスープはコクがありながらもスッキリで、「(本場)九州の人からも“こっちの方が好き”と言われたこともありますよ」(店主・生田さん)と、ファンになる人が絶えない。このボリュームだが、あと味のよさに気がつけば完食してしまう。小600円、もっと食べたい人にも大850円もあり。

住:日野郡日野町野田277-8
営:11:00~14:00、17:00~22:00(日曜・祝日は早じまいの場合あり)
休:月曜(休日の場合営業、翌日休み)
0859-72-1586

店舗の詳しいデータはこちら

☆食事処だけに、そばや一品料理も美味。これからの季節なら鍋もオススメ。地魚を使った鍋は、魚の新たな美味しさを発見できる可能性大。

 

●秋の日野路は雄大な奥大山の景色に、紅葉、また新そばなど多彩な楽しみが揃う。出雲街道沿いの宿場町・根雨(ねう)のまち歩きも楽しい。日野町の観光はコチラ